更年期の泌尿器トラブルの中でも、尿漏れ・尿失禁は深刻ですね。トイレが近くて困るわ~、夜中にトイレに目が覚めちゃうのよねぇ・・・なんて悩みは小さい小さい!と思えるほど。それこそ人に相談しづらい悩みです。
今回は更年期の尿漏れ、尿失禁の原因と対策を紹介します。
更年期女性の3人に1人は悩んでいる?
尿漏れ、尿失禁とは自分の意思に反して勝手に尿がもれてしまう状態のことです。なんと!更年期女性の3人に1人が悩んでいるのです。
更年期女性に多いタイプは腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁です。
くしゃみでアレ!?腹圧性尿失禁
お腹に力がかかったときにもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。こんなとき「アッ!」と思ったことありませんか?
- くしゃみやせきをしたとき
- 重いものを持ち上げたとき
- 走ったり運動したとき
- 階段の昇り降りをしているとき
腹圧性尿失禁の原因は?
通常お腹に力がかかったときは骨盤底筋という筋肉が膀胱と尿道支え、尿がもれるのを防ぎます。この骨盤底筋が衰えることが尿がもれてしまう原因です。
骨盤底筋が弱くなる一番の原因は出産です。難産だったり多産だった場合にリスクが高まります。産後の尿洩れは経験した女性は多いはず。
さらに、更年期になると女性ホルモンの減少が原因で弱くなります。もちろん加齢によるところも大きいですが。さらに肥満も関係しています。
トイレまで間に合わない!切迫性尿失禁
更年期の尿失禁で一番多いタイプは腹圧性尿失禁ですが、次いで多いのが切迫性尿失禁です。これは、突然強い尿意が襲ってきてトイレまで間に合わずにもれてしまうという症状です。
切迫性尿失禁は過活動膀胱の特徴のひとつです。過活動膀胱とは突然尿意をもよおし尿がもれてしまうことがある病気です。
膀胱がカチカチになる?
過活動膀胱の主な原因は、膀胱が柔軟性を失って硬くなったことといわれています。そうなると尿をあまり溜めていられなくなるだけでなく、尿意を感じるセンサーにも異常をきたしてしまうのです。
- 急な強い尿意
- 頻尿
- 尿漏れ→切迫性尿失禁
これらが過活動膀胱の特徴です。
自分でできる切迫性尿失禁対策
切迫性尿失禁は加齢だけでなく、脳梗塞や脳出血の後遺症で起こることもありますがはっきりとした原因がわからないことも少なくありません。いずれも泌尿器科への受診をおすすめしますが、セルフケアも重要です。
まずは骨盤底筋を鍛える体操を毎日続けることです。これは腹圧性尿失禁にも効果がありますので、最後に紹介しますね。
おしっこ我慢訓練
これは膀胱訓練法です。やりかたはいたって簡単。おしっこを我慢するだけです。過活動膀胱の人は、膀胱に尿を溜められなくなっています。その容量を増やそうというのがおしっこ我慢訓練です。
尿意を感じてもすぐに排尿しないで、少し我慢してみましょう。肛門付近の筋肉をきゅっと締める感じで我慢します。最初は5分程度から始めてみましょう。自宅にいるときがやりやすいと思います。
尿洩れパッドなど専用グッズでしっかり対策!
尿漏れで悩んでいる女性が多いなぁ・・・とドラッグストアに行くとわかります。パッドやライナーなど専用グッズがたくさん並んでいます。
尿洩れパッドと生理用ナプキンとの違いは?
尿洩れパッドと生理用ナプキン、ちょっと見は同じように見えます。尿洩れパッドの方が少し割高なものが多いので代用したくなりますよね。でも、それは避けたほうが賢明です。その理由はいくつかあります。
吸収体(ポリマー)の量が違う
生理用ナプキンより多くの吸収体が使われています。逆に言えば、生理用ナプキンだと吸収力が足りないということです。
アンモニアに対する消臭効果が違う
生理用ナプキンにはありませんが、尿洩れパッドにはアンモニアに対する吸収ポリマーが使われています。そのため、瞬時ににおいを閉じ込めてくれます。
生理用ナプキンは水分が逆戻り?
生理用ナプキンは経血を吸収するために開発されています。水分を閉じ込めるには不向きなのです。生理用ナプキンのムレの原因は経血中に含まれる水分が原因です。ということは・・・?
くしゃみをしたときのちょっとの尿漏れ程度なら生理用ナプキンで代用できそうに思うかもしれませんが、吸収体が吸いきれない水分が逆戻りして、かえってムレてしまいます。においの元になってしまうし、何より表面がべっとりして気持ち悪い!
やっぱり専用グッズを使いましょうね。
骨盤底筋を鍛えて尿洩れを防ごう!
腹圧性尿失禁の主原因は骨盤底筋の衰えだということは書きましたね。そして、切迫性尿失禁対策にも超おすすめなのが骨盤底筋体操です。
骨盤底筋を鍛える方法はいくつかありますが、基本のやりかたを紹介しますね。
骨盤底筋体操の基本の動作
- 全身の力を抜き、肛門と膣を10秒間締める
- 肛門と膣の力を抜いて数十秒間リラックス
- 1と2を10回繰り返す
コツは、締めるときに途中で力が抜けてしまったらまた締めなおすこと。ジワジワと引き上げるようにする。このとき、お腹や足、腰に力が入らないように!
動作に慣れないうちは仰向けに寝た状態からスタートしましょう。慣れてきたら椅子に座った状態で、さらに立ってテーブルにもたれた姿勢でできるようになったら日常の中でも取り入れてみましょう。電車の中などでもできますね。
次にそれぞれの姿勢での注意点です。
あお向けのとき
両足を肩幅に開き、両膝を軽く立てて行う
椅子に座ったとき
背筋を伸ばし、両足は肩幅に開いて行う
テーブルにもたれて行うとき
足を肩幅に開いてテーブルの前に立つ。両手を肩幅に広げてテーブルにつき、腕に体重をかけて行う
3ヶ月続ければだいぶ改善されます。今はまだ症状がない人もやってみてください。予防効果もかなり高いですよ。