HRTは更年期症状の緩和に高い効果を発揮します。エストロゲン不足によって脳が混乱し、その混乱が自律神経に飛び火してさまざまな不調があらわれるのが更年期の症状のほとんどです。
エストロゲンを補充することで、自律神経の乱れがなくなれば、いくつもあった不快な症状が一気になくなることもあり得るのです。
では、どのくらいでその効果を感じられるのでしょうか?
HRTの効果を実感するのは早くて1週間!
HRTは治療を始めて比較的早くに効果があらわれます。特にほてりやのぼせなどの自律神経失調症状にはシャープに効き目があらわれ、早い人で1週間で実感できるほどです。
そこまでではないにしても、2~3週間もするとたいていの場合改善がみられます。一般的に、2~3ヶ月から半年くらいが治療効果をみる目安です。
2ヶ月程度服用を続けてみて、あまり改善がみられないときは投与方法を変えたり、別の治療法を提示する医師もいます。
HRTの治療に長けた、相性の良い医師選びも重要なポイントです。
HRTはいつまで続ければ良いの?
更年期の不調を改善することが目的であれば、症状がなくなってくればやめてもかまいません。また症状が出たときに再開することもできます。
ただ、注意点がふたつ。
急にやめると更年期症状がぶりかえすことも
薬をいきなり中止すると、ほてりやのぼせなどの自律神経系の急性症状がぶり返してしまうことがあります。
投薬を中止するときは、徐々に減らしてエストロゲンの少ない状態に体を慣らしていくことが理想です。医師に相談しながら上手にコントロールしていきましょう。
骨粗しょう症予防の場合は継続も
HTRの効果は更年期障害の改善ともうひとつ、骨粗しょう症の予防等があります。HRTを受ける時の事前検査で骨量の低下や血管がもろくなっている場合は、HRTは骨粗しょう症や動脈硬化の予防にもなります。
その場合は、勝手にやめてしまうと治療効果がなくなってしまうこともあります。医師の指示を守って服用しましょう。
5年以上続けると乳がんのリスクが増える?
エストロゲンが女性の健康と美容を守ってくれていた守護神だとしても、永続的に補充していけるわけではありません。それなりのリスクがあります。
これは都市伝説的な話ですが、森光子さんは長いことHRTを受けていたそう。美容というより骨量の維持など、舞台に立つ女優としての決断だったのでしょうね。今の私でもでんぐり返しはできません・・・。
女性ホルモンを投与し続けることによるリスクはがんや血栓症です。エストロゲンのみの投与で子宮がんが増えたことは以前のブログ記事で書きました。
2002年アメリカの臨床結果報告の中で、エストロゲン剤と黄体ホルモン剤を連続投与しした場合、5年以上使った人の乳がん発症が25%増加したとあります。このときの報告については いろいろな角度から疑問視する研究者も多くいますが、現段階ではHRTの治療期間は5年までを目安にしている医師が多いようです。
実際のところ、更年期障害がひどくつらい時期は閉経後3年くらいというのが多く、その後はエストロゲンの少ない状態に体が慣れていきます。
HRTの費用は?健康保険は適用される?
気になるのが治療にかかる費用ですね。HRTは更年期障害と骨粗しょう症、萎縮性膣炎の治療の場合は健康保険の適用になります。
注意することは、骨粗しょう症の予防や美容目的でHRTを行う場合は保険適用とならず、自費治療となります。
保険適用の場合は1ヶ月2,000円程度です。初診料や各種の検査代を入れても数千円~1万円です。
健康保険診療のデメリットは更年期治療には大きい
治療費は安いほうが良いのは当たり前かもしれませんが、保険適用診療の最大のデメリットが診療時間の短さです。更年期の症状は検査結果をみて検討がつくようなものではなく百人百様です。
更年期治療にとって、医師に現状のつらい症状をしっかり聞いてもらう時間、医師から治療についての詳しい説明を聞く時間はとても重要なのです。
経済的に余裕のある人は自費診療で治療を受けることも多いようです。そこまでの負担は・・・という場合は、大部分の診療は保険で行い、健康指導やカウンセリングは自費で、という選択ができる病院もあります。
HRTは積極的に治療に関わっていく姿勢がたいせつです。HRTを受ける前に、医療機関をリサーチしておくことをおすすめします。
通える範囲かどうか・自費診療が必要か・医師は信頼できるか、などチェックリストを作って納得のいく治療を受けるようにしてくださいね。